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乳化抑制剤「TO-WFA」の紹介

TO-WFA  

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1、目的

インキの乳化における給排水バランスを向上させる添加剤として新たに開発した、「TO-WFA」について、市販インキを用いてその効果を確認する。

2、実験

実験に使用するインキは現在市販されている紅インキを使用する。インキへの添加量は後添加で1%とし、ブランク含めてサンプルインキは全てテストロールにて調整を行う。調整された各インキについて以下の試験を行って比較検証する。
 (1)リソトロニックによる乳化挙動の追跡
 (2)最大乳化率の測定と過剰水排水量の推移
 (3)乳化前後の流動性比較(ガラス板流動性)
 (4)印刷物適正比較(セット性、光沢性、耐摩擦性、紙上乾燥性)

* アート紙に展色して25℃で測定

実験結果

(1)サンプルインキの調整
市販の紅インキ100gを3本ロール上に計り取り、40℃の温水を通しながら十分混合した後に2回軽くロールパスを行い『ブランク』とした。同様に紅インキ100gを採取した後、「TO-WFA」を1g添加して、十分混合した後、軽く2回ロールパスを行い、『TO-WFA添加品』とした。

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 (2)最大乳化率の測定と過剰水排水量の推移
リソトロニック測定後にインキヘラを用いて過剰な乳化水を排除した際の水量の推移と最大乳化率を以下に示す。

  

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 (3)乳化前後の流動性比較(ガラス板流動性)
上記最大乳化率測定後の乳化インキを銅板上に移し、インキヘラで更に強制的に乳化水を排除した後に未乳化インキと共にガラス板流動性の比較を行った。

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(4)印刷物適性比較(セット性、光沢性、耐摩擦性、紙上乾燥性)
各紅インキサンプルについてアート紙における印刷物適性を調査した結果を以下に示す。

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4.考察

(1)リソトロニックによる乳化挙動の追跡
・「ブランク」に比べて「TO-WFA添加品」は乳化後の増粘が小さくなっており、乳化における給排水バランスが良くなっていることがわかる。

(2)乳化水排除による最大乳化率の測定と排水量の推移
・初回の排水量を比べてみると「ブランク」が5.71gであるのに対して、「TO-WFA添加品」が11.02gとなっている。添加により乳化における給排水のバランスが向上して初期排水量が多くなり、結果として最大乳化率が低減しているのが分かる。

(3)乳化前後の流動性比較(ガラス板流動性)
・「ブランク」が乳化後に流動性が落ちているのに対して、「TO-WFA添加品」は乳化前の状態と大差が無く、むしろ乳化後の流動性は向上している。

(4)印刷物適性比較(セット性、光沢性、耐摩擦性、紙上乾燥性)
・セット時間については、「ブランク」に比べて「TO-WFA添加品」は遅くなる傾向にあるが、大きな違いはない。
・光沢性については、添加による影響はほとんど見られない。
・耐摩擦性についても、添加による影響はほとんど見られない。
・紙上乾燥性についても同様に添加による影響はほとんど見られない。

5.まとめ

今回の一連の実験結果より「TO-WFA」添加による効果として、乳化における給排水バランスの向上が挙げられ、結果として最大乳化率の低減や乳化後の流動性の向上が確認できた。印刷物適性については添加量の増加によりセット性、光沢性に影響が出てくることは予想される物の、今回のような1%程度の添加ではほとんど影響が見られない。

  

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